在外研究sabbaticalや海外駐在員の準備の中でも重要度が極めて高い『家探し』…これが在外研究中の満足度を大きく左右すると言っても過言ではありません。
しかし、多くの大学でそうだと思いますが、1年という非常に微妙な期間限定の家探しは割と特殊で、なかなか難しいと思います。しかも、慣れない海外での家探し、住民登録や在留許可とも絡んでくるので結構頭を悩ますものと思われます。

僕自身、あらゆる準備の中でトップクラスに時間がかかりました。。
この記事では、これから在外研究の家探しを行う・あるいはいますでに検討中の人に向けて、家探しの方法5選を紹介し、それぞれの特徴やメリット・デメリットを説明したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
※僕の在外研究先がオーストリアだったので、オーストリアおよびヨーロッパが中心の話となります。が、基本は大抵の国で同じだとは思います。
いきなり結論ですが、ベストな方法は結局は人によります。当たり前ですが…
どこまでリスクを許容できるか、どれだけ資金に余裕があるか、、などなど
下に簡単に比較表をまとめましたので、自分がどの方法に向いているか参考にしてみてください。
大学提携 ゲストハウス | 中期賃貸 プラットフォーム | Airbnb | ローカル不動産 | 個人間やりとり | |
---|---|---|---|---|---|
物件の質 | |||||
費用 | |||||
手間 | |||||
評価 |
これ以降は、それぞれの方法について少しだけ掘り下げながら、僕の個人的な体験談や意見を共有していきます。
受入れ先の大学が客員研究員用のゲストハウスを持っていれば、これに勝るものはないかもしれません。
多くの場合、普通の賃貸よりは安いでしょうし、場合によっては清掃などのサービスが入る可能性もあります。
しかも、大学が契約相手になるので、在外研究者の受入れや関連する住民登録・在留許可申請手続きに慣れており、賃貸契約以外のところも相談しやすそうなのが良いですね。
また、大学によっては研究者間の家の借り貸しの仲介を行なっている場合もあるかもしれません。
これはつまり、受入れ先の大学からも他所の大学等に長期で出張する研究者がいて、その間自分が住んでいる家を誰かに貸したい研究者と、ゲストとして滞在する予定で家を探している研究者をマッチングしてくれるような感じです。
うまいこと自分の滞在期間と先方の研究者の留守期間がマッチすれば、結構有力な選択肢になるのではないでしょうか。これも普通の賃貸よりは安いだろう点が魅力ですね。
ただ、貸してくれる相手によって家の状態が左右されるリスクはありますね。
これは僕も実際に利用したサービスで、多少お金はかかるもののオススメしたい選択肢です。
中期賃貸プラットフォームは、一般の賃貸のように1年あるいは2年以上の契約の縛りがなく、それでいて下記Airbnbのように短期の旅行者向けでもないので、銀行口座開設や在留許可申請に必要な住民登録にも対応していることが多く、1年という中途半端な滞在期間になる在外研究者に打って付けだと思われます。
多くの場合、家具家電付きで、光熱費やインターネット料金などが含まれていることも珍しくありません。1年という短い滞在期間の中で、不安定な光熱費(ヨーロッパの冬の暖房代はめちゃ高かったりする)や電力会社等との面倒な契約手続きに精神をすり減らすよりは、少し高くても家賃としてまるっと定額の支払いとした方が分かりやすいし安心です。
暮らしに必要な基本的なものは揃っているので、渡航後すぐに生活をスタートすることができることも大きなメリットです。帰国のときも自分の荷物を持ち帰ることだけ考えれば良く、家具の処分など気にする必要がないことも意外と大きな魅力です。
また、基本的に家主となるのは個人ではなく、現地で不動産屋になるので、部屋自体や建物の質および対応の良さは比較的高いと思います。僕の経験上、相談やお願いにも比較的柔軟に対応してもらえると思います。
契約自体はオンラインで完結する場合が多く、支払い手順や滞在期間全体で必要な金額等も明瞭で、非常に使いやすいです。
デメリットとしては、やはり一般的な賃貸と比較するとややコストが高いことですね。でも上で挙げたメリットを考えれば、個人的にはここのコストの差は仕方ないかなと思います。あとは、オンライン完結というメリットと表裏一体ですが、現地での内覧とかはできないことが多いので、掲載されている写真から判断しないといけません。
例としては、HousingAnywhereやSPACEST.comなどがあります。興味がある人は下記リンクをのぞいてみてください。
昨今のホテルの高騰に伴い、旅行のときにAirbnbを使っている人も増えてきているでしょう。僕もヨーロッパを旅行するとき結構お世話になりました。
Airbnbは基本的には旅行者向けなので、長くても1ヶ月程度の短期滞在者向けという感じでしょう。
ただ中には長期滞在も受け入れてくれる家主もあるかと思いますので、そういう物件を探すのも悪くはないでしょう。
注意点としては、金額的にそんなに安くないことと、中長期滞在のための住民登録等に対応しているかどうか、という点です。僕の経験上ですが、上で挙げた中期賃貸プラットフォームと比べてもそんなに安くはない気がします。それだったら元からそういう中長期滞在を前提にしているサービスで物件を探した方が良いような気もします。
便利な使い方としては、短期契約は柔軟性が高いので、渡航後1ヶ月程度をAirbnbに滞在して、その間に現地の不動産でいい物件を探すというのがいいかもしれません。
現地の一般的な賃貸不動産屋も選択肢の一つになるでしょう。
この場合は、日本で賃貸を探すときと同じで、基本的に対面で自分の要望等を細かく相談しながら探せることが大きなメリットでしょう。また、実際に住むことになる部屋やその周辺地域の雰囲気などを自分の目で確かめられることも魅力的ですね。
業者によっては1年や2年以上のような長期契約の縛りもあるかもしれませんので、その点は最初にしっかり確認する必要があります。
上記のようなオンラインのプラットフォームよりも地域に特化しているので、まあ安くていい物件が見つかる可能性が高いとは思います。しっかり自分の目で確認して、家探しに妥協したくない人にはいいかもしれません。
上で挙げたようなAirbnbに1ヶ月程度暮らしながら、現地の不動産を回るというのが現実的な手段になるかもしれません。
オーストリアの場合は、「Willhaben」という中古品等仲介プラットフォームも一つの手段です。
ここでは不動産以外にもいろんな中古品がやり取りされています。出品者も個人や業者とさまざまで、安くて優良な掘り出し物に出会える可能性はあります。
ただ、詐欺物件もないとは言えず、自分でしっかりと物件の見極めおよび交渉することが必要になります。
最後に、業者を通じない個人間のやり取りを挙げておきましょう。
例えば、自分の大学の誰かが滞在している都市に入れ替わりで滞在するケースだとか、掲示板等で一時的に家を貸したい人を探すとかですね。
これはどういうことかと言うと、「数ヶ月今住んでいる家を不在にするから代わりに住んでくれる人いません〜?」みたいな人から個人のお金のやり取りでその家に住まわせてもわうってことですね。。
基本的に業者を経由するよりは安いでしょうし、自分の要望にピッタリ合致する物件が見つかるなら良いやり方になるでしょうね。
オーストリア・ウィーンの場合は、掲示板『ウィーンの森の散歩道』で「賃貸」とか「家」とかキーワード入れて検索すると、そういう人が結構見つかります。賃貸の又貸しみたいなことが法的にどうなのか謎なので(日本だとダメですよね…)、あまり積極的にオススメはしません。。まあ僕としては普通に業者経由の方が安心で良いとは思います。
まあ考え方は人それぞれなので、こういうのが好きな人にとっては良い選択肢でしょうね。
いかがでしょうか?
在外研究生活は色々と大変なこともありますが、日本とは違う暮らしを存分に味わう大きなチャンスでもあります。満足度の高い暮らしにするためにも家探しは極めて重要なミッションになります。
ぜひ今回の記事を参考にして、素敵な家を見つけてください。