今回は渡航後に研究活動を行うためのビザ、いわゆる『Dビザ』の申請手続きについて書きたいと思います。
在外研究に行くことが決まったらすぐに準備することの一つで、とっても大事なものです。
ただやっぱり情報が足りない!!
あなたが今から準備にとりかかるとしたら…

可能な限り調べまくったけど、意味不明なことばっかり!
質問したい!!
こういう状況に陥ることは目に見えています。
大丈夫です。安心してください。
大使館や知り合いに聞いたりして分かったことや実際に申請してみて分かったことを余すことなくお伝えします。個人ブログとしては驚異の詳しさだという自信があります。めちゃくちゃ分かりやすく書くことを目指したので、すべて読むには若干時間がかかりますが、『全然分からん!詳しい情報が欲しい!!』と思っていた当時の僕が満足するぐらいの内容を目指してますので、きっとみなさんにも満足してもらえると思います。
これを読めば(おそらく)問題なくDビザの取得ができるはずです!
この記事では海外渡航や移住に関する専門用語や手順等について説明していますが、内容の正確性は保証しません。僕自身専門家ではないので、正確な表現ではない可能性があります。正確なことは必ず渡航国の大使館や移民局のホームページ等を確認してください。この記事の内容によって生じた不利益の責任は負いかねますので予めご了承ください。
海外旅行や移住に関連して、ビザって言葉よく耳にしますよね。でも在留許可や滞在許可なんかと混同されてるケースが散見されます。(もしかしたらパスポートと勘違いしてる人もいるかも?)
まずはその辺をしっかり整理しましょう。下記に簡単にまとめます。
- パスポート:日本および外国に入国・出国する際に問答無用で必要なもの。
- ビザ(査証):ある外国に入国するのみ、あるいは入国して特定の活動を行うために必要なもの。基本的に半年以内ぐらいの短期滞在向け。
- 在留許可:ある外国に長期滞在するために必要なもの。滞在目的や理由によって様々な種類がある。
基本的には『ビザ』は入国あるいは特定の目的で短期滞在するためのもので、『在留許可』はより長期で滞在するためのものって感じのイメージで良いと思います。
インドとかだと入国するだけで『ビザ』が必要だったり、下記の通りオーストリアの場合は『ビザ』なしでも6ヶ月滞在できたり、国によってルールやハードルの高さは様々ですね。
で、本題ですがオーストリアで在外研究をするためにはどれが必要なのかって話ですよ。
結論としては、オーストリアに滞在し研究活動を行うには、いくつかあるビザの一つ『Dビザ』が必要になります。
オーストリアに入国するだけなら『ビザ』は必要ありません。ヨーロッパの多くの国(いわゆるシェンゲン協定国、ドイツ・フランスなど)がビザなしで入国&3ヶ月間の滞在ができるのに対し、オーストリアではなんと6ヶ月ビザなしで滞在できます。
(オーストリアのルールゆるいじゃん!と思ったそこのあなた、、甘い、甘すぎるよー!同じシェンゲン協定国なのに3ヶ月と6ヶ月でビザなし滞在ルールが違うことによって余計な心配事が生まれます。これについてはまた後述します。)
ただし特定の活動を行う人はビザを取得してから入国しなければなりません。研究活動もその1つで、渡航してすぐさま研究活動を行う人は『Dビザ』を出国前に取得しておく必要があります。
オーストリア大使館のHPでは、『Dビザ』について下記の通り説明されています。
オーストリアの短期滞在ビザ (ビザD): オーストリアで最長6ヶ月の滞在が可能、その期間中シェンゲン協定加盟国でも最長90日の滞在が可能。オーストリアで最長6ヶ月まで外国雇用法上、許可制あるいは申告義務のある特定活動を行う日本パスポート所持者、オーストリアの該当機関における客員研究員、科学者、インターン、研修生もこのビザを取得して下さい。
オーストリア大使館ホームページ
ビザを取得するためには色々な書類を準備する必要がありますので、必要な書類と準備するのに要する時間を考慮して、出発日から逆算して早め早めに準備を進めて行くことが重要です。
ちなみに在外研究に家族を帯同するという人も多いと思いますが、家族については『ビザ』は必要ありません。
大使館に問い合わせたところ、『研究者本人は出国前にDビザを取得、家族はビザなしで渡航。その後6ヶ月以上滞在する場合は現地(オーストリア)で家族全員分の在留許可申請をする』という流れになるそうです。
『Dビザ』申請に必要な書類は上記HPの『予約・必要提出書類(添付書類)』の項目にリストアップされています。
オーストリア大使館ホームページ
- 申請用紙(記入漏れのないこと、直筆サイン入り)
- パスポート:申請されたビザの有効期間より3ヶ月以上の有効残存期間、未使用ページ数が最低2ページある、発給から10年以内のパスポート
- パスポートのコピー(身分事項ページ、ビザ貼り付けページ)
- 日本の在留カード(有効残存期間3ヶ月以上のもの)
- ICAO規格による最近の写真 (パスポートサイズ)
- 旅行保険証書(疾病、傷害、帰国費用)、最低補償額各3万ユーロのもの
- 雇用証明書 (現在の雇用関係を証明する在職証明書、雇用者、仕事、期間、収入)、在学証明書
- フライト予約確定書
- 宿泊の予約証明、ホテルの予約
- 充分な資金の証明、通帳(6ヶ月分の残高証明)
- シェンゲンビザの有効期間より3ヶ月以上の有効期間のある日本再入国許可、日本在留資格、外国人登録済み証明書
- オーストリアの次に訪問される訪問国のビザ
- 返信用封筒
- 渡航目的が観光の場合: 同上のもの, 更には · 旅行代理店発行の旅行予約確定書(ホテルの住所を含む
- 渡航目的が商用の場合: 同上のもの, 更には · オーストリアの企業からの訪問の目的、期間、渡航者の氏名、生年月日、住所などを含む招待状。場合によって招聘企業の会社登記記載事項証明(Firmenbuchauszug)更には *EVE(Elektronische Verpflichtungserklärung =所定の電子版招待者保証) が求められることがあります。
- 個人、知人訪問の場合: 同上のもの、更には招待者の*EVE(Elektronische Verpflichtungserklärung=所定の電子版招待者保証)
- 空港トランジット(国際線乗り継ぎ)の場合: 同上のもの、更には目的国のビザ
分かりやすいものもあれば、なんのこっちゃっていうものもありますよね。
以下では、1つ1つ必要書類と注意事項について説明していきます。
以下の内容はあくまで僕の『在外研究を目的としたDビザ申請』の経験に基づくもので、人によっては少し内容が変わる可能性があります。担当者によって指摘する内容が違うこともあり得ます。気になることは直接大使館に問い合わせてご自身で確認することをオススメします。
申請用紙は以下のオーストリア大使館(英語版)ホームページからダウンロードできます。以下のリンク内の『Forms』のタブを開くと、サイドバーに『Antragsformular_Visum_D_.pdf』という項目が現れますので、ここからダウンロードしてください。
(日本語の大使館ホームページでも一応ダウンロードできます。こちらはWordファイルになってます。)
全部手書きで書き込んでもいいし、Wordで必要事項を入力して自署欄だけ手書きでサインしても大丈夫です。僕は英語(アルファベット)でサインをしてましたが、パスポートに記載のサインをするように言われたので漢字のサインを大使館で申請時にその場で追加しました。
パスポートに関しては当然必要ですね。『ビザ』申請時にはパスポートを預けないといけないので、申請のタイミングはよく考える必要があります。僕の場合、オーストリアに行く前に2回ほど別の外国に行く用事があったので、パスポートがちゃんと必要な時期に戻ってくるのかすごい心配でしたね。この辺のスケジュール感についてはまた後述します。
リストには“申請されたビザの有効期間より3ヶ月以上の有効残存期間”と書いてありますが、ビザDの有効期限である6ヶ月ではなく、実際に自分が滞在する期間(おそらく在外研究の場合は1年)よりも3ヶ月以上の有効期間があるパスポートであることに注意しましょう。
パスポートコピーについては『最初の顔写真が写ってるページ』と『白紙の見開き2ページ分』があればいいはずです。ただし、僕の場合は現地に行ってから在留許可申請が控えており、そこで『Passport copy (all pages)』が提出書類としてあったのでこの時点で全ページコピーして持って行きました。
これはおそらく何かしらの理由で日本に滞在中の外国人の方が該当するパターンだと思われます。僕の場合はこの項目はスルー。
写真はスピード写真ではなく、写真屋さんで撮ってもらうのをオススメします。
これね、大使館の日本語ホームページの提出品リストだとパスポート規格とだけ書かれてるんですが、もう少し細かい決まりがあるっぽいんですよね。
上のリンクは大使館の英語版ホームページですが、このページの『Supporting documents』の項目に以下のような記述があります。
1 current passport photo (do not cut! light colored – no blue – background!) according to ICAO-standard
オーストリア大使館ホームページ(英語版)
スピード写真はおろかカメラマンが撮ってくれる証明写真だって普通は青背景ですよね。これダメらしいんですよ。白背景じゃないといけないらしいです。
僕の場合この説明を見てから準備していったので『青背景だとダメだよ』って実際に指摘された訳じゃありません。日本語のホームページだと特に背景に関する記述がないので、青背景でも行けるのかもしれません。(ホームページに書いてあるほど厳格じゃないじゃん!みたいなのは割とよくあります。)
でも僕の場合、白背景で問題なく行けましたし、実績がありますから皆さんにも白背景の証明写真を提出することをオススメします。写真屋さんで『白背景で切らずに4枚綴り(何枚かは店によるでしょうけど)で』とお願いしましょう。
*パスポートセンターみたいなところに併設されている写真屋さんだと『どこの国ですか〜?用途は?』など確認してくれたりするので、背景のお願いとかも慣れててスムーズです。
そして余った写真はオーストリア現地での在留許可申請でも使いますので、忘れずに現地に持って行きましょう。
こちらは『最低補償額各3万ユーロのもの』という説明がありますが、やはり英語版のホームページにはもう少し細かいことが書いてありまして、コロナに関することが書かれています。要はコロナに罹患した際も保険でカバーされるよ、ということだと思います。
coverage min. EUR 30.000,– (for each medical expense) plus repatriation incl. COVID19 coverage, valid worldwide or in Schengen area
オーストリア大使館ホームページ(英語版)
保険に関してははっきり言って何に加入したらいいのかよく分からなかったので、相手先の大学から案内があった『FeelSafe』という民間保険に加入しました。下記リンクを確認してもらいたいのですが、この中に『FEELSAFE EU ENTRY』という商品があり、これがいわゆる旅行保険であり、ビザ申請時に必要な保険になります。
これを見ると、、
Officially approved by the Government!!(政府に正式に承認されてます!!)
Valid for your C-Visa and D-Visa!!!!(あなたのCビザ・Dビザ申請に有効!!!!)
というなんともうれしい記載が!もう何にも考えずにこれに飛びつきました。『FeelSafe』の説明によると入国当初1ヶ月分程度の旅行保険『EU ENTRY』に加入し、これを持ってDビザを取得→入国後銀行口座を開設した後に健康保険へと切り替え、これを持って在留許可申請をする、という流れのようです。(別の記事で説明する通り、僕の場合は在留許可申請の時はFeelSafeではない別の民間保険の健康保険に加入しました。)
なので1ヶ月分ぐらいのFeelSafeの旅行保険に加入して、その証明書(英語)を提出しました。これについては少しだけトラブルがあったので後述します。
大学に在職証明書を発行してもらい、提出します。雇用者、仕事、期間、収入などがしっかり記載されているものを用意しましょう。また、在外研究の場合は、在外研究自体の証明(いつからいつまでどこの大学に行くみたいな)およびその期間中の給与証明もあれば提出した方がいいでしょう。
また、在外研究する大学からのInvitation letter(招聘状)は絶対必要です。僕の場合はドイツ語版と英語版を2通もらっていたんですけど、英語版の招聘状のコピーを提出しました。
あとでまた詳しく書きますが、フライトの書類についてはEチケットと領収書を提出しました。
これまたあとで詳しく書きますが、僕は入国後1ヶ月分のホテルを予約して、その予約証明を提出するとともに『それ以降の宿泊・住居の予定に関するレター』を添付しました。
ネットバンクの明細を印刷したものと通帳原本を持っていきます。
いずれも6ヶ月分の記録が確認できる状態のものが必要です。ぼくの場合は給料が振り込まれる生活費口座と貯蓄用の口座の2つの口座の取引明細を持っていきました。生活費口座は「給料が振り込まれる→残高ほぼゼロ→給料が振り込まれる」を繰り返している状態で、これだけだと『こいつ全然十分な資金ないやんけ』ってなりそうな気がしたので貯蓄口座の明細も持っていきました。もちろん人によっては1つの口座明細だけでもいいと思います。
申請前日に口座からお金を引き出すか送金するかして、最新の取引の記録を作ってから印刷および記帳することをオススメします。すると、アクティブかつ最新の口座の記録であることを明白に証明できます。
僕の場合、分かってたはずなんですけど通帳を記帳するのを忘れていたため、通帳が最新じゃないことを指摘されましたが、ネットバンクの取引明細が最新のものだったため受け付けてもらえました。
これも外国人の方が該当する項目かと思います。スルーします。
僕の場合はオーストリアに1年間滞在するのみで他の国に滞在する予定はないので、この項目はスルーしました。
レターパックプラス(赤色)を準備します。郵便局はもちろんコンビニでも買えます。レターパックライト(青色)と間違えないようにしましょう。
宛先(自分の届けて欲しい場所)を事前に書き込んでおきます。追跡番号が書いてあるので写真を撮っておくといいでしょう。
観光じゃない。スルー。
商用でもない。
個人訪問ではない。
トランジットではない。関係ありません。
メモ用紙などの白い紙。未記入の申請書。
あとは大使館内ではスマホやPCの使用を制限される可能性がありますので、必要そうな書類はすべて印刷していくことをお勧めします。提出する書類だけでなく、申請予約した際のメールの写し、過去の大使館との問合せやり取りの記録、などなど。
上で説明した通り、おおよそどんな書類を準備すればいいかは分かったと思いますが、いざ準備し始めると
どういうこと!?
ということがいくつか出てくると思います。僕が実際に疑問を持ち、解消したことを以下の通りまとめますので、参考にしてください。
『Dビザ』は最長6ヶ月オーストリアに滞在できるビザです。6ヶ月の滞在で帰る予定の人は別に問題ないですが、ここでは僕と同じように1年の在外研究に行く人にとって疑問になりそうなことについて説明していきます。
『Dビザ』は最長6ヶ月の滞在を想定されているのに、自分の滞在予定は1年。。
出国日とは、、入国日から6ヶ月後の日付にすべきなのか?それとも実際の出国予定である1年後の日付にすればいいのか?

出国日については、実際に出国する予定の日付を書けばいいです。つまり入国から6ヶ月を超えた日を書いても問題ありません。また滞在期間は1年などと書いておけばOKです。
航空会社によってルールが少し違うと思いますが、搭乗日の約1年前からしか航空券の予約はできないというのが一般的かと思います。往復の航空券を取る際は、往路は往路搭乗日の1年前から、復路は復路搭乗日の1年前からというような感じになります。
なので僕の場合は往復航空券を予約したのですが(片道航空券は高いからね)、往路に関しては実際に搭乗する日の予約をして、復路については適当な日付で予約をしておいて、実際に自分が帰国する日の予約枠が解放された時点で復路便の変更をすることにしました。
このような事情から『Dビザ』の申請のタイミングでは、復路の予約便が実際に帰国する予定の日付とは異なることになりました。さて、こういう航空券でもいいのでしょうか??

Dビザの場合、航空券は行きの航空券の予約証明さえあれば申請できます。
ちなみに復路便の日付についてですが、僕はどうせ後で変更するからと適当に予約しましたが、ひとまずは往路便(入国日)から6ヶ月以内に設定しておいた方がいいかもしれません。また、『Dビザ』とは直接関係ありませんが、直行便もしくはシェンゲンエリア外での乗継ぎでオーストリアに入国するような航空券を予約することをオススメします。これについては下記の記事で触れたいと思います。
宿泊先や賃貸の証明を出さないといけませんが、これまた『Dビザ』の想定期間である6ヶ月間の証明が必要なのでしょうか?
でもまだ家なんて決めれないし、しばらくは安宿で暮らして現地で家を探す、なんていうパターンもありますよね?そういう場合はどうすればいいのでしょうか?

入国当初1ヶ月分程度の宿泊先証明があれば受け付けられます。念の為、その後の宿泊先に関する予定をレターとして添付すると良いと思います。
レターについては、大使館の人に実際にこの疑問について質問した際に言われたことです。『当初1ヶ月分はホテルに滞在し、その間に現地のエージェントやインターネットを使って住居を探す』旨を簡潔に記したレターがあればいいそうです。
僕の場合は実際にホテル暮らしをするつもりはなかったのですが、まだ家探しには時間がかかりそうだったので、キャンセル無料のホテルをホテルサイトで予約して、そのホテル明細と領収書を提出しました。
その後、無事に『Dビザ』を取得した後にホテルはキャンセルしました。
僕のいつも使っているホテル予約サイトは『Hotels.com』10泊利用すると、利用した10泊の平均価格分のリワード(1泊分の予約に利用できるバウチャー)をもらえます。
旅行保険についても宿泊証明と似ていますが、『Dビザ』で想定される6ヶ月間の保険契約が必要なのでしょうか?

宿泊先と同じく、渡航当初1ヶ月分の旅行保険契約があれば申請できます。その後の滞在期間の保険に関する予定についてのレターを添付しましょう。
これも宿泊先と同じですが、大使館の人に質問した際に上記のように教えてもらいました。(ただし、これについては少しトラブルになりました。この記事の最後の方で詳しく触れます。)
ホームページだけを見て、そのまま悩まず申請しに行く場合、この”Erwerb”というワードに出会うことすらないかもしれませんが、大使館に問い合わせをしたりすると、「研究目的で渡航する方は、入国前にVisa D “Erwerb”を申請・取得のうえ渡航してください」という旨の回答を受けると思います。
ここで「Erwerbって何よ?」という状態になる訳です。普通のDビザとは違うのか?申請書類が変わったりするのか?とか疑問が湧いてきますよね。また、英語版のホームページを見ると、Erwerbに関連するところで下記のような記述があります。これを見ると、Visa D “Erwerb”の申請のためにはAMS(おそらく労働局的なところ)から何か証明書を発行してもらう必要があるのか、気になりますよね。
If Japanese citizens intend employment during their short stay in Austria which is subject to a work permit, a visa “Erwerb” (employment) is required. The work permit issued by Public Employment Service Austria (“AMS – Arbeitsmarktservice”) has to be attached to the visa application. Visa applications of Japanese citizens are free of consular fees. Any stay in Austria beyond six months as of the day of first entry is subject to a residence permit.
オーストリア大使館ホームページ(英語版)

結論としては、研究目的の滞在の場合、自動的にVisa D „Erwerb“が発行されます。申請用紙や必要書類も基本的に同じもので大丈夫です。また、研究目的の場合AMSからの書類は必要ないそうです。
これについては、どこでそういう情報を見たのかはっきり覚えていないのですが、ビザ申請時点で在留許可申請書類をすべて提出する必要があるという感じの情報を見た気がするんですよね。
で、そんな訳あるかい!と思いつつも心配性の僕はこれまた大使館の人に問い合わせてみました。

要らないそうです。
「日本国籍の方は・・」と言われていたので、まあ必要になるケースもあるってことですかね?少なくとも日本国籍で、研究目的で『Dビザ』を申請する際には、在留許可申請のための書類は必要ありません。
僕の経験に基づき、ビザ申請までの流れをお伝えします。
申請当日の具体的な手順については次章で詳しく解説していきます。
まずは時期を決めないことには何も始められないので、自分の仕事・家族の状況・受入先の都合を考慮して在外研究期間を決定しましょう。期間が決まったら、受入先に招聘状(Invitation letter)の作成・発送のお願いをしましょう。
対応してくれる人の性格によりますが、お願いしているのになかなか手配してくれないこともあるかもしれません。ビザ取得までの期間を逆算して早め早めにお願いして、いつまでにこの書類が必要かしっかり伝えていきましょう(もちろんこちらは善意でお世話してもらう側なので失礼のないように)。
もしパスポートの有効期限が切れかかっていたり、そもそもパスポートを持っていない場合は発行する必要がありますが、これにはある程度の時間が必要です。早めに確認しておきましょう。
時期が決まったら飛行機の予約も極力早めにしておきたいことです。後回しにしていると価格や経路など選択肢がどんどん減っていきます。
大抵の大学は割とすぐに発行してくれるものと思いますが、これも自分ではどうにもならないところなのでなるべく早めにお願いしていきましょう。証明するべき項目もしっかり確認し、漏れの内容にしましょう。
下のSTEP.6の内容の検討を進めつつ、準備の目処がついてきたら申請予約をします。2024年現在はメールで予約を受け付けてくれます。僕が2024年初めに問合せした際は『ビザ申請予約は3~4週間ほど先までほぼ一杯という状況が続いている』という旨の返事をもらったので、予約できるのは1ヶ月程度先になっても良いぐらいのつもりで早めに相談しましょう。
ぼくの場合は3/12にメールをして、4/11に予約ができました。(こちらから4/8の週を指定した)
保険や宿泊先は検討に時間がかかると思いますので、早めに進めましょう。経済証明については、通帳の発行や繰越し・オンラインバンキングで発行できる書類の確認等を事前に済ませておきましょう。実際に書類として準備するのは申請前日(直近の証明が必要なため)になります。写真はまあいつでもいいです。
申請書はなかなか書きなれない書類で意外と面倒です。早めに準備しておきましょう。
予約した日時に遅れないように。(特に地方から申請に来る人にとっては)余裕があるなら一度場所を下見しておくといいかもしれません。
申請までの流れで律速するところは『Invitation letterの作成および郵送』か『申請予約』だと思います。上で触れた通り、申請予約は(いつもそうなのかは分かりませんが)結構混雑している様子なので1ヶ月程度かかると思っていた方が無難でしょう。
ということはビザ申請を思い立ってから実際の申請日まで、最低でも1ヶ月か1ヶ月半ぐらいは必要になると思います。
僕の場合は、家族を連れて行くつもりだったのもあって、適切な航空券を検討するのにまあまあな時間がかかりました。あとは単純に必要な書類や準備について情報収集するのにとても長い時間が費やしたと思います。
みなさんがとっても気になる『申請から取得までの期間』ですが、僕の場合は”約2週間”でした。
まとめると以下のような感じになります。
- 在外研究が正式に決定:前年11月頃
- 書類の準備:11月から4月上旬まで
- ビザ申請予約:3/12
- 申請日:4/11
- ビザ取得:4/26
最後に当日の流れについて体験談を説明したいと思います。
朝10時の予約に対して、約束の3分前ぐらいに大使館前に立ちます。インターホンがあるので、鳴らしてビザ申請に来た旨を伝えます。門をくぐり、階段を登って左手に申請の受付部屋があります。
申請受付はこんな感じです↓(汚い手書きで申し訳ありません!)

色々な人のブログなんかで『結構不備を指摘された』とか書かれてるのを見てたので、めちゃくちゃドキドキです。
でもまあ相手にするのは日本人だし、現地で行う在留許可申請に比べたら屁みたいなもんです。この程度のハードル軽く超えていかなくてはいけません。

ぜったい乗り越えてやるぜ(ゴゴゴ)
緊張の面持ちで受付に向かうと、提出書類リストをもらい「この順番に書類を並べて提出してください」と言われます。
完璧に準備した(はずの)書類たちを順番通りに並べて提出します。ちなみに受付はガラス越しで直接ものを渡せませんが、書類受け渡し用の引き出し(?)のようなものがありますので、そこに書類を入れて渡します。何か悪いものの取引現場のようです(??)
しばらく待って、いくつかの項目を指摘されました。
1つは通帳が最新の記録まで記帳されていなかったこと。ただし、ネットバンクの明細があったので大丈夫でした。もう1つは申請書に関することで、自宅の郵便番号が記入されていなかったことと署名欄にパスポートと同じサイン(漢字のサイン)が必要とのことで、これはその場で記入して事なきを得ました。
あと旅行保険については追加の対応が必要になりました。詳細は下記に書きます。
さらにそこからしばらく待ち、10時半頃再度呼ばれ、『Dビザ申請をしたのち、現地で在留許可申請します』というような旨の書類にサインをします。そして、両手10本の指すべての指紋を取りました。
最後に少しだけ審査終了時期や宿泊先の目処についてのやり取りをして、ビザ申請は終了となりました。大使館を出たのはだいたい10:40頃。緊張した割に拍子抜けするぐらい特に何もなく終わりました。
ちなみにこの時、書類を出して無事に受理されたことの安堵感ですっかり申請手数料を支払うのを忘れていました。しかし、後日問い合わせたところなんと『今回のケースでは無料です』とのこと!
本来ならDビザ申請には150ユーロが必要です。研究目的だからなのか何なのか分かりませんが、150ユーロ(当時約25000円ぐらい)が浮いたのは本当ありがたかったですね。
保険については上記の通り、渡航後1ヶ月分ぐらいの旅行保険に加入して証明書を提出しました。
これについては、僕が利用した保険会社「FeelSafe」もこのやり方で良いと言ってましたし、大使館に問合せしたときも当初1ヶ月分の旅行保険で良いと言われてました。
しかしいざ申請の際には『滞在期間全て(1年分)をカバーする保険に加入して証明書を提出してもらう必要がある』と言われてしまいました。
おい!話が違うやないかい!!
この時点ではどうしようもないので、とりあえず保険会社に聞いてみます、ということで終わりました。
ただ結果的には1年分の保険は必要ありませんでした。申請後、FeelSafeに大使館で言われたことを問い合せたところ「そんなはずはないんだけど、、こっちから大使館に聞いてみるわ」ということだったので、FeelSafeとのやり取りを大使館に連絡し、待つことにしました。
すると、しばらくして大使館から「今回はこの保険証明(当初1ヶ月分)で審査をします」という連絡が届きました。
僕が調べたこと、経験したことを徹底的に余すことなくお伝えしましたが、いかがでしたか?
保険については、結果的には何も追加書類等必要なかったのでまあホッとしましたけど、何やったんや一体?という気持ちにはなりましたね。事前に問い合わせていても、こうやって本番は違うことを言われたりするから油断できませんね。
僕のケースは割とすんなりいったケースだと思います。人によっては色々追加で書類を求められるかもしれません。ただ、目的が在外研究であれば基本的にはこの記事でまとめた僕のやり方で問題なく申請できるはずです。
滞在目的が他のものだったり、ワーホリビザ等の場合はもちろん要件が変わってくるでしょうから、わからないことは大使館に問い合わせることをお勧めします。
何かわからないことや不安なことがありましたらコメントいただければ、分かる範囲でお答えします。もちろん大使館に直接問合せするのが一番だとは思います。